産総研,大幅な消費電力の低下が期待できる新たな構造のトンネルFETを開発

産業技術総合研究所ナノエレクトロニクス研究部門 シリコンナノデバイスグループ主任研究員の森田行則氏らは,新たな構造を採用した合成電界トンネルFETの動作を実証した。

トンネル電界効果トランジスタ(トンネルFET)は,電子のトンネル効果を利用したトランジスタで,原理的に電界効果トランジスタ(MOSFET)の限界を超えた低電圧でオン・オフの切り替えができるため,低消費電力化が期待されているが,MOSFETに比べて流れる電流が小さく,実際に応用する際の課題となっていた。

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今回開発した構造では,立体加工したチャネル側壁面の高濃度ソースとノンドープチャネル層の界面で,縦方向と横方向の電界を重ねることで,従来よりも強い電界をかけることができる。この新構造のトンネルFETを「合成電界トンネルFET(Synthetic electric field tunnel  FET: SE-TFET)」と命名した。

SE-TFETは,定められたゲート電圧でより強い電界をかけられるような新たなチャネルと電極構造により,従来のトンネルFETの10~100倍の動作電流が得られた。これは集積回路(LSI)の消費電力低減に寄与すると期待される成果。

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