京大、X線天文衛星「すざく」が明らかにした標準光源の「ゆがんだ」形状

京都大学日本学術振興会特別研究員(理学研究科)の内田裕之氏、名誉教授の小山勝二氏、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター研究員の山口弘悦氏らのグループの共同研究で、藤原定家が「明月記」に記録した超新星SN1006が非対称にゆがんだ爆発をしたことが発見された。

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藤原定家は1006年に超新星爆発があったことを「明月記」に記録として残した。その記録と現在の研究から、この超新星は史上最も明るく輝いた核暴走型超新星といわれている。この型の超新星はIa(いちエー)型と呼ばれ、明るさが一定のため、標準光源として宇宙の加速膨張の発見に寄与してきた。明るさが一定の標準光源であるためには、爆発がすべて一様、対称でなくてはならない。ところが、藤原定家の超新星SN1006は、鉄などの元素がある方向に偏った非対称爆発だったことが日本のX線天文衛星「すざく」で明らかにされた。宇宙の標準光源に使われるIa型超新星は予想外に「ゆがんだ」爆発をしていたのだ。

今回の発見は、Ia型超新星を標準光源として用いる多くの研究に一石を投じるもの。さらに天文学上の大きな未解決問題、「星の爆発のメカニズム」を解き明かす重要な手掛かりを与えるものだ。

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