阪大、 乳がん細胞の逃亡を抑制する遺伝子を発見

大阪大学大学院歯学研究科薬理学教室講師の佐伯万騎男氏らの研究グループは、2006年に発見していた遺伝子「Monad」に、乳がんにおける原発巣のがん細胞が直接に周囲の組織や臓器に広がっていく「浸潤」を抑制する機能があることを発見した。これは、大阪大学医学系研究科外科学講座(乳腺・内分泌外科学)、トロント大学との共同研究による成果。

研究チームが発見していたMonadを浸潤力の強い乳がん細胞に発現させると乳がん細胞の浸潤力が失われた。また乳がんがリンパ節に転移した患者では、Monadの発現が低下していることもわかった。

無題

乳がんは原発巣の治療後も20-30%では転移、再発がみられる根治が困難ながんだが、がんの浸潤転移は非常に複雑な生物学的過程を経ることから、そのメカニズムの解明やそれに関わる遺伝子の同定ががん研究の中でも最も遅れている分野でもある。

今回、どのようなしくみでMonadが乳がんの働きを抑えているかを網羅的遺伝子解析により調べたところ、乳がん細胞が自ら作り出し、浸潤を引き起こす蛋白質の分解にMonadが関与していることがわかった。

今回の研究成果から、Monadの発現を高めるような薬を開発することができれば、乳がんの浸潤転移を抑制できることが考えられ、予後が悪い乳がんの新しい治療薬になる可能性がある。

詳しくはこちら