東工大,遺伝子発現を光で自在に調節する技術を開発

東京工業大学バイオ研究基盤支援総合センター兼地球生命研究所准教授の増田真二氏らは,遺伝子発現を光で自在に調節する新技術「ピッコロ(PICCORO)」を開発し,ゼブラフィッシュの尻尾の形成を光のON/OFFで制御することに成功した。

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開発したピッコロは,細菌由来の光受容体タンパク質を,任意の転写因子タンパク質と光依存的に相互作用させ,その転写因子タンパク質が調節する遺伝子発現を,光で自在に制御する方法。 遺伝子発現を人工的に制御する技術は,さまざまな生命科学の研究に必須だが,現在,広く使われている薬剤や熱処理に依存した方法では,一度ONにした遺伝子発現をOFFにすることや局所的に発現を誘導することが難しい点が問題だった。

原理的に,ピッコロ法はいかなる転写因子にも応用可能。特に,タンパク質の相互作用により遺伝子発現誘導のスイッチングが可能なこの技術は,DNAやRNAを打ち込むことで達成させていた従来の方法と異なり,個体発生のいかなる段階でも遺伝子発現をON/OFFすることができる。これにより,今まで解析が困難であった神経発生や代謝調節などに関わる遺伝子の解析が進むと期待される。

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