クリスティ,4K 120Hz 6P レーザプロジェクタを発表

クリスティ・デジタル・システムズは,2014年10月から,レーザ光源を使用した4K 120Hz 6P(6P:Six Primary color)プロジェクタ「Christie Mirage 4K LH」を発売すると発表した(ニュースリリース)。価格は低価格モデルが2000万円前後となる予定。

レーザ光源には同じくウシオ電機の子会社であるNECSEL INTELLECTUAL PROPERTY社の製品を採用した。レーザを光源とするプロジェクタはソニーも発売するが,こちらは青色のレーザを蛍光体に当てて白色光を得るのに対し,「Christie Mirage 4K LH」は同社が「ホワイトモジュール」と呼ぶ光源モジュール内でRGB各色のレーザを合成して白色光を作りだす。

同社のレーザを光源とするプロジェクタはこの製品で2代目となる。これまではRGBのレーザ光を光源からそれぞれファイバで引き出して合成していたが,今回の「ホワイトモジュール」は白色光を1本のファイバで引き出し,3チップDLPによって投影する。さらに冷却チラーもモジュールに内蔵するなど,システムとしての完成度を高めた。

「ホワイトモジュール」1台あたり5,000 lmを出力。モジュールの数を増やすことで最大60,000 lmまで出力を上げることができ,従来難しかった光出力の調整範囲が拡大する。さらにRGBレーザを用いたことで,従来のキセノンランプよりも色領域が広がり,より豊かな表現が可能になっている。

レーザを光源とすることによって定期的なランプ交換が不要となり,メンテナンスも簡易化した。同社では最大30,000時間の投影が可能としている。

同製品は各種方式の3Dにも対応しており,中でもInfitec方式(波長分割フィルタ方式)で威力を発揮する。これはRGBの各波長をそれぞれ±10nmずつずらした2組のRGBを作り出し,右目用と左目用の映像として投影する方式。観客はダイクロイックフィルタを付けた眼鏡を用い,左右の眼でそれぞれ別の映像を同時に見ることで3D映像として認識する(4K 120Hz 6Pの6Pはこの2種類のRGBのこと)。


レーザ光源「ホワイトモジュール」

Infitec方式概要

自動車産業での採用を狙う


これまでInfitec方式では光源から必要な波長だけを取出し,不要な波長は捨てていたため効率が悪く,右目用と左目用,2台のプロジェクタを用いることもあった。今回,レーザを光源に採用することで必要な波長だけを作りだすことができ「光の利用効率が単純計算で倍になる」(技術担当:池田俊治氏)としている。

またInfitec方式はシャッターを用いないので,フレームレートを落とすことなく,クロストークの少ない滑らかな3D映像を得ることができる。同社ではこの機能を3D映画だけではなく,自動車産業などにおける製品シミュレーションや,アミューズメントでの使用を想定している。

この製品は,プロジェクタヘッドと光源を分割し,双方を光ファイバで接続する使い方もできるので,ポートレート設置や上向き,下向きなど設置角度の自由度が向上する。これにより,投影条件の厳しい環境での製造工程におけるシミュレーション,イベント演出やアミューズメントでの活用も期待したいとしている。

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