車載用センシング技術に注目が集まる―Valeoが開口角150°のレーザスキャナを開発

車載用センシング技術に関心が高まっている。衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や自動運転を支えるためのもので,カメラやミリ波レーダ,レーザレーダを標準搭載する車両数も増えてきている(関連記事)。

国内ではバスに限ってだが,この11月より新型車への衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務付けられ,2017年からは継続生産車両に対しても装備が義務化される。欧州ではEuro NCAPで衝突被害軽減ブレーキが評価項目に加わった。世界的に自動車に対する予防安全技術の標準搭載が広がっている。

矢野経済研究所によると,車載用センサの世界市場は,2013年が前年比7.7%増の2兆121億円となり,特に先進運転支援システム向けセンサの需要が急拡大すると予測しており,2020年の同市場は2013年の1,815億円から4,399億円になると推計している(プレスリリース)。

現在候補にあがっている前出のセンサは一長一短があるものの,それぞれの機能を組み合わせることで,より検知・検出精度を高めることができる。今後このようなセンサフュージョンが進むのか,あるいは独立しての搭載となるのか,いずれにしても車載用センサはさらなる進化を遂げていくのは間違いない。

こうした中,この5月に開催された自動車技術展「人とくるまのテクノロジー」において,フランスValeoのレーザスキャナ「SCALA」に注目した。会期中,このレーザスキャナを実車に搭載し,一般道を走行するデモンストレーションも行なわれた。

このレーザスキャナはドイツIbeo Automotive Systems社と共同開発したもので,自動車やトラック,バイク,歩行者の検知が可能だ。特に開口角が150°と広いのを特長としており,検出距離はトラックが200m,乗用車が150m,歩行者が50mとなっている。

同スキャナは波長950nmの赤外線レーザを4本採用しており,ガルバノスキャナで走査する。レーザの本数を増やすことで,横方向に加えて縦方向にもスキャニングできるものとなっている。一般的にレーザはミリ波レーダに比べて,検出距離が長いのがメリットだが,雨や雪など天候の影響が受けやすいという弱点がある。

これについてはフィルタリングをかけるなどの工夫でノイズをシャットアウトできるとし,実用性に問題ないことを挙げている。同社によれば,2015年末から量産を開始する予定とし,2016年にもこのレーザスキャナを搭載した車種が登場するとしている。

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