三菱電機,がん治療財団から「重粒子線スキャニング照射装置」を受注

三菱電機は,佐賀国際重粒子線がん治療財団(佐賀県鳥栖市)から,より的確に患部への重粒子線ビームの照射を実現する「重粒子線スキャニング照射装置」を受注した(ニュースリリース)。2017年内に九州国際重粒子線がん治療センター(SAGA HIMAT:サガハイマット)の3つ目の治療室に設置される予定。

サガハイマットは、2013年5月に開設された九州初の重粒子線がん治療施設で,同社が重粒子線がん治療装置を納入するとともに運用サポートを行なっており,既に300人以上の治療実績がある。

今回の重粒子線スキャニング照射装置の導入により,重粒子線ビームを細く絞り,スポットサイズで的確にがん病巣にビーム照射が実現できる。またがん病巣の複雑な形状に対応した精密なビーム照射制御を実現する。これにより,患者への負担が少なく,より安全性の高い治療の提供が可能だとしている。

さらに,照射精度向上により,患者ごとの照射の調整のために必要であったボーラスやコリメータなどに消耗部品が不要となる。また高効率ビーム採用により,加速器で消費される電流の低減するので,ランニングコストとともに廃棄物の低減が実現するとしている。

なお,今回の重粒子線スキャニング照射装置は,群馬大学重粒子線医学研究センターおよび放射線医学総合研究所が有するスキャニング照射技術の知見に基づき製作する予定。