富士フイルムら,抗酸化成分「アスタキサンチン」が紫外線によるシワを防ぐことを発見

富士フイルムは,優れた抗酸化力を有する「アスタキサンチン」をマウスに摂取させる実験を,京都大学との共同研究で実施 し,「アスタキサンチン」を摂取すると,紫外線UVAを長時間照射しても,(1)肌のシワ形成が抑制されること,(2)経皮水分 蒸散が抑制されることを確認した(ニュースリリース)。

「アスタキサンチン」は自然界に広く分布している天然由来の抗酸化成分で,サ ケやエビ,カニなどに多く含まれるカロテノイドの一種。ヘマトコッカス藻あるいはオキアミを原料とした「アスタキサンチン」が,機能性食品の原材料と して使われている。

トマトのリコピンや人参のβ‐カロテンなどのカロテノイドは活性酸素を消去する「抗酸化作用」をもつ成分として知られているが, 「アスタキサンチン」は,これらのカロテノイドよりも強い抗酸化作用をもつ成分として,注目されている。

同社はこれまでに,「アスタキサンチン」が。CoQ10の約1,000倍以上もの抗 酸化力を持つことを実証してきた。このほか,「アスタキサンチン」には眼精疲労の回復作用や筋肉疲労回復作用などさまざまな 効果効能があることが報告されており,同社はその優れた抗酸化力に着目して化粧品やサプリメントへの応用開発を進めている。

マウスを用いて実験したところ,「アスタキサンチン」の摂取により,皮膚にダメージを与えてシミ・シワ・たるみなどの原因となるUVA照射時に,肌のシワ形成が抑制されること,経皮水分蒸散が抑制されることを確認した。

同社では,今回確認できた「アスタキサンチン」によるシワ形成の抑制効果は,UVAにより皮膚の真皮に発生する活性酸素を「アスタキサンチン」が除去することによるものと推察している。活性酸素は,肌を支える真皮のコラーゲン線維やエラスチン線維を分解する酵素の産生を促すことにより,真皮の構造を劣化させ,その結果,シワを形成させる。

また,経皮水分蒸散量抑制効果は,「アスタキサンチン」が表皮のバリア機能を維持するために重要なセラミドに影響を与えているのではないかと推察している。

どうしゃでは今後も「アスタキサンチン」の美容・健康における効果効能やメカニズムについて研究を進め,化粧品やサプリメントの開発に応用していくとしている。

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