アルマ望遠鏡,アンテナ展開範囲15kmに広げ「視力2000」を達成

アルマ望遠鏡は,若い星おうし座HL星を取り囲む塵の円盤を「視力2000」に相当する史上最高の解像度で写し出すことに成功した(ニュースリリース)。惑星誕生の現場である塵の円盤がこれほどの高解像度で撮影されたのは,今回が初めてのこと。

アルマ望遠鏡のように複数のパラボラアンテナを結合させて一つの望遠鏡とする「電波干渉計」では,アンテナの間隔を離せば離すほど解像度(視力)が向上する。2014年10月24日,アルマ望遠鏡は過去最大のアンテナ展開範囲15kmで,おうし座の方向約450光年彼方にある若い星,おうし座HL星の試験観測を行なった。

この時の解像度は,史上最高の0.035秒角(角度の1度の約10万分の1)で,人間の視力に換算すると2000となるという。またこれは,ハッブル宇宙望遠鏡が達成できる典型的な解像度を上回る。

この史上最高の解像度で撮影されたおうし座HL星の画像には,星のまわりに同心円状の塵の円盤が幾重にも並んでいるようすがくっきりと写し出されている。この星は100万歳に満たない若い星だが,この画像から星のまわりでは明らかに惑星ができているように見える。合同アルマ観測所の所長は,この画像が惑星形成の研究に革命をもたらす成果だとしている。

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