東大の超小型衛星「ほどよし1号機」,打ち上げに成功

東京大学は,昨年度まで行われた内閣府最先端研究開発支援プログラムの一環で次世代宇宙システム技術研究組合がアクセルスペースの技術支援のもとに開発した超小型衛星「ほどよし1号機」を,ロシアのドニエプルロケットを使ってロシア国内のヤスネ宇宙基地から2014年11月6日に打ち上げ,最初の日本上空通過時に信号の受信に成功した(ニュースリリース)。

「ほどよし1号機」は地球観測(リモートセンシング)を目的とした1辺約50cmの立方体形状をした質量60kgの超小型衛星。打ち上げ後に取得が期待される画像を利用して,将来的に超小型衛星を利用したリモートセンシング事業に取り組む潜在的な事業者の掘り起こしを行ない,事業化に関する利用研究を進めることを目的としている。

「ほどよし1号機」にはコンピュータ,リアクションホイール,スターセンサ,MEMSジャイロ,GPS受信機などが搭載され,高度な3軸姿勢制御を行なうほか,過酸化水素水を推進剤とする推進装置を使って軌道制御も行なう。また,地上分解能6.7m,観測幅約28kmの光学センサが搭載され,高度500km-600kmの太陽同期軌道から地球を観測する。

従来このような分解能と観測幅の地球観測には150kg以上の衛星が使われてきたが,最新の民生電子部品の積極的な活用等により60kg以下の質量で同等の機能を実現した。

リーズナブルなコストや信頼度の高い超小型衛星を利用や打ち上げを含めて開発する,通称「ほどよしプログラム」では全部で4機の衛星の開発を行なっており,2014年6月に「ほどよし3号機」「ほどよし4号機」が先に打ち上げられている。

関連記事「九大らが開発した超小型衛星「つくし」,打ち上げに成功」「東工大らの超小型人工衛星”TSUBAME”が完成,打ち上げへ」「JAXAら,静止気象衛星「ひまわり8号」の打ち上げに成功