立教大学らが開発したジオコロナ観測用望遠鏡,はやぶさ2と共に打ち上げ

立教大学,東京大学,宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共に開発した望遠鏡「Lyman Alpha Imaging Camera」(LAICA)が,12月3日に「はやぶさ2」とともに宇宙に打ち上げられた超小型深宇宙探査機「PROCYON(プロキオン)」に搭載された(ニュースリリース)。

LAICAは,地球の周りを広くおおっている水素の層「ジオコロナ」を深宇宙空間から撮影することを目的に開発された望遠鏡。望遠鏡の設計・組み立てから,ロケット発射の衝撃や探査機内で想定される温度変化に対する耐久性を確認する実験まで,立教大学の学生が中心となり実施。望遠鏡開発の計画開始から,完成まではわずか半年だった。

望遠鏡はガラス鏡と金属の構造体で構成されており,宇宙でも使えるようにするためには特殊な接着技術が必要だった。今回,立教大学が新たに接着方法を開発し,ロケットの打ち上げや宇宙の環境に耐えられる望遠鏡を完成させた。

ジオコロナの観測は近年でも行なわれているが,数万kmまで広がるジオコロナの全体像を得るためには地球から遠く離れる必要がある。「PROCYON」は地球から十分遠くまで離れることができるため,今回LAICAによるジオコロナの撮影が成功すれば,1972年のアポロ16号以来,42年ぶりに新たに撮影されることになる。

また,アポロ16号では継続観測が行なえなかったが,LAICAでは継続観測が行なえるため,時間的な変動を捉えることにも挑むとしている。さらに,これまでの観測用カメラより,低コストで製作できるこのカメラがジオコロナの撮影に成功すれば,機材の開発のコストダウンにもつながるとしている。

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