NICTら,8K非圧縮映像の超広帯域IPマルチキャスト伝送に成功

NICTは,新世代ネットワークの実現等に向けた研究開発用テストベッドネットワークJGN-X上にて新世代ネットワークの実現に向けた研究開発を進めている。そこにおいて,現在開催されている“さっぽろ雪まつり”の8K/4K映像を用いて,30者を超える産学関係者との連携によるNICT主催の実証実験として,8K非圧縮映像の超広帯域IPマルチキャスト伝送実験に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

これは,昨年から稼働を開始したJGN-X の100Gb/sネットワーク上に構築された広帯域の仮想化ネットワークを活用した実証実験。昨年成功した100Gb/s回線上での8K非圧縮伝送検証実験の更なる発展事例となるもの。

具体的には,JGN-Xの100Gb/s基幹回線を活用し,東京~大阪~北陸間で,8K映像及び4K映像の非圧縮データを複数拠点へIPマルチキャストにて伝送できる仕組みを構築した。さっぽろ雪まつり会場にて撮影した高解像度映像などを国内の複数拠点へHD圧縮(30Mb/s),4K,8K非圧縮(24Gb/s)をそれぞれIPマルチキャストネットワーク上で伝送する実験を神奈川工科大学ほかと共同で実施し,正確な制御性能を実証した。

NICTらは,100Gb/s回線上での複数仮想回線の安定的な運用を目指し,100Gb/sネットワークの高精細・選択的なモニタリングを実施する仕組みを構築している。昨年は,100Gb/s回線から10Gb/sを選択し解析する実験に成功した。今回は,更なる構成の改良により,最大40Gb/sの選択・解析を実現した。これにより,非圧縮8K映像のような10Gb/sを超える大容量通信と制御パケットを同時に高精度に監視することができるようになり,また,問題発生時の詳細な分析が可能となる。

マルチキャストを100Gb/s上で実現したことで,8K非圧縮映像のような大容量データを複数拠点で用いる実証実験が,帯域利用・経路選択の面で,より効率的に実施可能となる。100Gb/s回線の高度な運用技術をテストベッドJGN-X利用者へ提供することにより,ソーシャルビッグデータ処理などの用途に的確に対応できる,将来の新世代ネットワークの早期実現に向けた研究開発を促進するとしている。

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