LED照明市場,高出力タイプがけん引

富士キメラ総研は,TVやタブレット端末,スマートフォンなどのバックライト,照明器具や自動車用光源など,さまざまなアプリケーションで使用されるLED(発光ダイオード)の関連市場を調査し,その結果を報告書「2015 LED関連市場総調査」にまとめた(ニュースリリース)。この報告書では,アプリケーション(バックライト,照明,自動車用光源,UV)17品目,LEDパッケージ4品目,LEDチップ4品目,チップやパッケージなどの材料・部品16品目を調査・分析した。

それによると,2014年は単価が大きく下落したものの,ハイワット製品が伸びたことで,数量ベースでは前年比23.1%増,金額ベースでも同14.6%増と堅調に拡大した。長らくディスプレイのバックライト向けが市場をけん引してきたが,TV需要の頭打ちと高効率化に伴う搭載数量の減少もあり,2014年には数量ベースで照明向けのウェイトが最大となった。

照明向けでは中国パッケージメーカが低価格を武器に攻勢をかけたことから,LED照明の低価格化と普及が大きく進んだ。なお,今後も照明需要の増加を背景に拡大が期待され,2020年には数量ベースで2014年比80.6%増,金額ベースで同36.7%増を予測する。

2014年の照明向け白色LEDパッケージ世界市場
市場は,前年比44.7%増の570億個となった。出力0.2Wから1Wを超えるものまで用途に応じて幅広く使用される。出力0.2W,0.3WのLEDパッケージは放熱対策がしやすいことから直管型ランプ,シーリングライト,一体型の直下型ベースライトなどで使われるが,最近は放熱技術の向上,高出力製品の開発が進み,1Wを超えるLEDパッケージが増加している。出力別では0.5W未満が全体の71%と最も大きなウェイトを占める。1W以上は26%とウェイトは低いが,前年比29.3%増と大きく伸長した。

1W以上のLEDパッケージは,電球,ダウンライト,一体型のエッジ型ベースライト,エクステリア照明器具,屋外照明器具などで使われ,高出力化しやすいCOBタイプの需要が増えている。現在はダウンライト,エクステリア照明器具,屋外照明器具などで使われているが,改良が進むことで,シーリングライトやベースライトでの採用も考えられるとする。

電気代の安い地域では低消費電力をメリットとするLED照明への関心がやや低いが,世界規模でLED照明の普及が進み,照明向け白色LEDパッケージの市場拡大を予測する。

バックライト向け白色LEDパッケージ世界市場
ノートPCやスマートフォンなどの中小型LCDおよびTV向けLCDのバックライトに使用される白色LEDパッケージを対象とした。2014年の市場は,前年比6.2%減の471億個となったが,今後は下げ止まり2020年まで470億個前後での推移を予測する。

LEDパッケージのタイプにはサイドビューとトップビューがあり,スマートフォンをはじめとするモバイル機器では薄型化の要求も強いため,導光板と組み合わせ低背化が可能なサイドビューが採用される。スマートフォン用では,ディスプレイの大型化や高解像度化によりLEDの平均搭載数量が増加し,今後も拡大を予想する。

サイドビュータイプでは高さ0.6mmのパッケージが主に採用されていたが,0.4mmパッケージで高輝度化が進み2015年に大きく採用が増加するとみる。性能面の課題はクリアしているものの,0.4mm対応の導光板メーカが限られており,しばらくはハイエンドのみでの採用を予想する。既に0.3mmの開発も進んでおり,今後0.4mm以下のパッケージのウェイトが上昇していくとみる。

一方,トップビュータイプはTV用バックライトが多い。TV用ではディスプレイの大型化が進んでいるものの,LEDの高出力化によって平均搭載数量の減少が進み,横ばいから微減を予想する。LEDの設置方式にはディスプレイの背面に設置する直下型と,サイドに設置するエッジ型がある。

大型TVではエッジ型が多いが,4Kテレビを中心とするハイエンドでは画質を重視することから,直下型を採用する傾向が強まっている。また,8Kではこれまで以上の高演色化が求められており,新たにKSF蛍光体の採用が2015年に本格化するとみている。