東大,「準結晶」の秩序形成過程の観察に成功

東京大学の研究グループは,透過電子顕微鏡を用いてAl-Ni-Co系準結晶が900°Cで成長する過程を直接観察することに世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

19世紀から続く物質科学の長い歴史の中でごく最近まで,固体の原子配列は,結晶(単一のユニットが周期的に繰り返された構造)か,アモルファス(秩序をもたない構造)のどちらかであると信じられていたが,1984年に結晶とは異なる全く新しいタイプの原子配列秩序をもった第3の固体「準結晶」が発見された。

その後の準結晶研究の進展により,これが真に,自然科学史上の画期的な発見の一つと認識されるに至り,2011年のノーベル化学賞が発見者のシェヒトマン教授に授与された。

現在までに準結晶に関する多くの研究がなされてきたが,成長のメカニズム,つまり原子が集まって準結晶秩序を形成するメカニズムは未だによくわかっていなかった。この問題に関しては,今までに理論モデルは提案されているが,決定的な実験がなく未解明だった。

研究の結果,成長過程で頻繁に秩序の乱れの導入とその修復が繰り返されることがわかった。この修復は準結晶特有のフェイゾン自由度に関連し たタイル構造の再配列によって起こる。この研究により,このようなフェイゾン自由度に関連した修復過程が準結晶の秩序形成に本質的な役割を果たすことが明らかになった。これは従来の理論モデルを明確に否定するもの。

第3の固体である準結晶の秩序形成メカニズムがどうなっているかは,物質科学における基礎的な重要問題の一つ。今回の成果は,この問題に一つの答えを与えるもので,物質の成り立ちに対する理解を一歩進めた意味があるとしている。

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