NEDOら,超小型光トランシーバーの実装ボードを開発

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)の研究グループは,大容量LSIと光I/Oコア間のデータ伝送において課題となっていた電気信号の反射,減衰をマネジメントする高速伝送技術と,光I/Oコアを大容量LSI周辺に実装するボードを新たに開発し,大容量LSI用光インターフェースに向けたチャンネルあたり25Gb/sの高速伝送を実現した(ニュースリリース)。

研究グループはこれまでにシリコンフォトニクス技術を用いて,世界最小の5mm角で,1Gb/sあたり5mWの消費電力,1チャンネルあたり25Gb/sの伝送速度の超小型光トランシーバー(光I/Oコア)の開発を実現している。

今回,以下の2つの技術を開発・実証した。
①大容量LSI周辺に光I/Oコア搭載した実装ボードを開発
40mm角のFPGAチップ周辺に5mm角の光I/Oコアを16個配置し,大規模LSI用のIOボトルネックを解消する大容量光インターフェースに向けた光入出力付LSI基板と評価用実装ボードを開発した。

②FPGAから1chあたり速度25Gb/sで入出力伝送を実証
FPGAから25Gb/sの電気信号を光入出力付LSI基板上の送信用光I/Oコア(Tx)で光信号に変換した後,マルチモードファイバーに結合,ループバックで受信用光I/Oコア(Rx)に戻し電気信号に変換して,FPGA(製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路)で受信する高速伝送実証を行なった。

25Gb/sの高速電気信号を光I/Oコアに伝送するため,信号の反射,減衰をマネジメントした高速伝送技術を新たに開発した。これにより,FPGA間を25Gb/sの光信号で結ぶことが実用上問題ないことを実証できた。

この技術を基に,光I/Oコアが持つ光と電気の入出力機構にFPGAやCPUなどの大容量LSI間をつなぎ,消費電力を従来比1/3以下に抑えながらボード全体で最大2.4Tb/s(ハイビジョン映画36時間分を1秒で送付可能な高速伝送技術に相当)の大容量データの高速での送受を実証することにより,サーバなどの情報通信機器の小型化,省電力化,高速化とともに省エネかつコンパクトなデータセンタの実現が期待される。

研究グループは今後,FPGA間のマルチモードファイバ伝送等における課題を解決することで2.4Tb/sの大容量伝送の実証実験を進めていく。また,今回開発した大容量LSI用光インタフェース技術を,CPU等の他の大容量LSIに適用し,サーバーノード間インターフェースとして実用化を進めていくとしている。

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