KDDI研,波長多重とマルチコアで2Pb/s伝送を達成

KDDI研究所は,光ファイバー1本でのデータ伝送容量として,2Pb/sの超大容量伝送実験に成功した(ニュースリリース)。

これは,ブルーレイディスク(1枚あたり25GBで算定)では1万枚分,4K映像(1時間あたり16GBで算定)では約1万5千時間分のデータを1秒で送ることが可能な伝送容量になる。

将来,第5世代移動通信システムの導入やIoTの爆発的普及,4K/8K等の超高精細映像の流通など,現在よりもはるかに大容量のデータ通信需要が見込まれる中,光ファイバー網の伝送能力向上が課題となる。

同社は,今回,「スーパーナイキスト波長多重伝送技術」と「マルチコア・マルチモード光ファイバー」の2つの技術を組み合わせて,2Pb/sの伝送実験に成功した。

「スーパーナイキスト波長多重伝送技術」は,1波長あたり50Gb/sの容量を,データ伝送に必要な信号帯域を極限まで狭くすることで従来比2倍の波長多重を実現するを活用して360波長に多重する。

「マルチコア・マルチモード光ファイバー」は,1本の光ファイバー内に6つの異なる伝搬モードと19個のコアにより114の空間多重を行なうことで光ファイバー1本あたりの伝送容量を飛躍的に拡大できる。これらの技術により,従来の世界最大伝送容量の約2倍となる2Pb/sを達成した。

なお,この伝送容量は商用の光ファイバーシステム(太平洋横断海底ケーブルシステム「FASTER」)の伝送容量の約200倍となる。

同社は,今後も各技術の更なる性能向上に加え,伝送距離の延伸や伝送容量の更なる拡大を図り,実用化に向けた検討を進めていくとしている。

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