日立ハイテクら,光-電子相関顕微鏡法用システムを開発

日立ハイテクノロジーズと理化学研究所(理研)は,光学顕微鏡と走査電子顕微鏡による同一箇所の観察を容易にするCLEM用システム,「MirrorCLEM」を共同開発し,7月25日に日立ハイテクより発売する(ニュースリリース)。

顕微鏡は医学・生物分野では,細胞や組織の微細構造の解明のため電子顕微鏡が利用される一方,分子レベルでのタンパク質の局在や挙動を観察するため,光学顕微鏡の一種である蛍光顕微鏡の活用が進んでいる。

このように昨今は,異なる種類の顕微鏡を用いて観察するCLEMが盛んに開発・報告されてきたが,倍率領域・観察項目が異なる顕微鏡同士での同一箇所の観察は,容易ではなかった。

この課題に対し,日立ハイテクと理研のグループは,2015年より,GFPの蛍光を放つ細胞小器官の微細構造を観察可能なCLEM用システムの研究開発を進めてきた。

理研は,GFP蛍光と微細形態の両方を保持した状態で樹脂包埋する試料前処理方法と観察フローを開発し,日立ハイテクは,樹脂包埋切片をプレパラートごと容易に電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)で観察するための専用治具と,蛍光を放つ細胞小器官の同一位置を迅速かつ正確に観察するソフトウェアの開発を進めてきた。

今回,日立ハイテクと理研が共同開発した「MirrorCLEM」は,FE-SEMを用いて迅速かつ正確なCLEM解析を支援するシステム。

樹脂切片を光学顕微鏡を用いて低倍率からターゲット構造が明瞭に観察される高倍率まで観察した後,観察位置情報をFE-SEMのステージ位置情報と同期させたうえ,ステージの外部制御を行なうことで,FE-SEMによる同一箇所の観察が可能になる。

また,光学顕微鏡とFE-SEMのオーバーレイ画像のリアルタイム表示も可能。実際に,シロイヌナズナの根や子葉においてGFP蛍光を放つペルオキシソームの微細形態が,このシステムを搭載した「SU8220」形FE-SEMによって明らかにされた。

この製品は,「SU8200」シリーズFE-SEMに搭載されるシステムとして,日立ハイテクが発売し,年間50セットの販売を見込む。

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