九大、がん幹細胞の撲滅による新しいがん治療法の開発に成功

科学技術振興機構課題達成型基礎研究の一環として、九州大学生体防御医学研究所主幹教授の中山敬一氏らは、細胞周期を調節するたんぱく質であるFbxw7を抑制することによって、がん幹細胞を直接たたき、生存率を大幅に改善させることに成功した。

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近年、がん研究においては「がん幹細胞」が注目されている。「がん幹細胞」自体は非常に数が少なく、それ自体はほとんど増殖しない(冬眠状態=静止期)。しかしその子孫である「がん細胞」は急速に増殖し、最終的に生命を脅かす。従来の抗がん剤や放射線療法は、この急速に増殖する「がん細胞」を一時的に殺すことができても、あまり増殖しない「がん幹細胞」にはほとんど効果がなかった。治療後に残存したがん幹細胞から再びがん細胞が生じ、再発や転移を引き起こすと考えられるため、がんの根本的な治療にはなっていなかった。つまり、がんを完全に治療するためには、このがん幹細胞を根本的にたたく方法の開発が必要だが、がん幹細胞が静止期にある基本的なメカニズムが明らかになっていなかったため、効果的な治療法がなかった。

本研究チームは、がん幹細胞が静止期にとどまる機構を明らかにし、その中心的なたんぱく質Fbxw7を発見した。実際に慢性骨髄性白血病モデルマウスで人工的にFbxw7を欠損させると、白血病のがん幹細胞が静止期から追い出され、増殖が再開して抗がん剤で死滅した。つまり「Fbxw7の抑制」+「抗がん剤」の併用により、治療後の再発を減少させ、生存率を大幅に改善させることに成功した。このがん幹細胞を撲滅する新方法を「静止期追い出し療法」と命名した。

本研究は、Fbxw7ががん幹細胞の増殖を抑制し、治療抵抗性の原因となっていることを示した初めての報告で、Fbxw7の働きを抑える阻害剤が実現すれば、がん根治療法を実現することが期待される。

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