九大、活性酸素などから遺伝物質を守る仕組みを解明

九州大学大学院医学研究院助教の関口猛氏は、福岡歯科大学先端科学研究センター教授の関口睦夫氏、教授の早川浩氏、講師の伊東理世子氏との共同研究によって、活性酸素などによる酸化から遺伝物質を守る仕組みを明らかにした。

活性酸素などによって DNA や RNA、ヌクレオチドが酸化されることは、生物にとって大きな害となる。研究チームは、酸化されたヌクレオチドを排除する仕組みを研究してきた。生物は、細胞を基本単位として構成されているが、そのため生命現象の仕組みは、一つの細胞である大腸菌でも、人間でも、基本的には同じようなものであると言うことができる。本研究では、大腸菌を使用し、ヌクレオチドを作るために働いている3つのタンパク質(GMK,ADK,NDK)を詳細に調査した。

その結果、研究チームは GMK だけが、酸化された原料(8oxoGMP)を使わず酸化されていない原料(GMP)だけを使うことを明らかにした。酸化されたヌクレオチド(8oxoGTP)は MutT というタンパク質によって分解されて 8oxoGMP ができることは分かっていたが、この分解されてできた8oxoGMP を GMK が使わないことがこの研究で判明した。

一度分解された酸化ヌクレオチド(8oxoGMP)が、また使われては意味がないので、それを回避する働きをこの GMK というタンパク質が担っていることも明らかにした。

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この仕組みの解明は、遺伝物質の酸化によって引き起こされる人間のがん化や老化の仕組みを明らかにするために重要であると考えられる。

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