DNP,横国大,NICT,東大,ナノレベルのランダムパターンで個体認証する技術「ナノ人工物メトリクス」を開発

大日本印刷(DNP)は,横浜国立大学,情報通信研究機構(NICT),東京大学と共同で,人工物の物理的な特徴を認識して個体認証を行なう技術「ナノ人工物メトリクス」において,数㎚単位の微細でランダムなパターンでの認証を実現した。

「ナノ人工物メトリクス」とは,指紋などの生体固有の特徴で個人認証する「バイオメトリクス(生体認証)」にちなんで名づけられたもので,これまでは主に㎛単位のパターンを認証に用い,例えば,紙にランダムに漉き込まれた微細な磁性繊維で真贋判定する株券などで導入されている。

今回研究グループは,電子線リソグラフィープロセスで発生する「レジスト倒壊現象」を応用して㎚単位の微細なパターンを作成し,個体認証に利用できる技術「ナノ人工物メトリクス」を開発した。レジストの厚さや基板との接着力,電子線露光時間などの条件を調整し,レジストのピラー(柱)の倒壊現象をランダムに発生させることで,10㎚以下の複雑な微細構造を有するランダムなパターンを形成した。

ランダムに倒壊したレジストのピラー(柱)  ピラーの高さは200 nm
ランダムに倒壊したレジストのピラー(柱)
ピラーの高さは200 nm

通常の微細加工技術において避けるべき現象であるレジスト倒壊現象を逆手に利用したもの。作製したランダムパターンに対して,複製の困難さ(耐クローン性)や,読み取りの安定性などに関する評価などを行った結果,個体認証に活用できると判断した。今後,小型の読取装置および読取照合アルゴリズムについても開発を進め,クレジットカード,ブランドプロテクションなどの用途で3年後の実用化を目指す。

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