京大,光合成酸素発生反応で利用される蛋白質内のプロトン移動経路を発見

京都大学学際融合教育研究推進センター生命科学系キャリアパス形成ユニット講師の石北央氏と同客員研究員(科学技術振興機構さきがけ)の斉藤圭亮氏らの研究グループは,英国Imperial CollegeのA. William Rutherfordとの共同研究により,光合成酸素発生反応で利用される蛋白質内のプロトン移動経路を発見した。

高等植物や藻類は太陽光を利用し,蛋白質「PSII」の内部で水を酸素と水素イオン(プロトン)に分解するが,その反応の分子機構は未だ不明である。研究グループは, 2011年に日本のグループにより解明されたPSIIの分子構造をもとに量子化学計算を行なった。

さらに蛋白質の分子進化の過程に関する考察を加えることにより,水分解反応において酸素とともに生じたプロトンが蛋白質のどの部位を通って蛋白質外へ排出されるのかを,初めて分子レベルで明らかにした。

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(a)D1および(b)D2におけるプロトン移動経路と、(c)D2におけるドミノ倒し様プロトン移動の模式図。Cl-1:塩化物イオン、TyrD:チロシンD。

全く未知であった水分解反応機構のうち,プロトンの排出経路が明らかになったことにより,今後,反応機構の全体像の解明が大きく加速することが期待される。

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