生理研、光で泳ぎのオン・オフに成功! 魚の泳ぎの指令塔となる神経細胞群を発見

自然科学研究機構生理学研究所(岡崎統合バイオサイエンスセンター)准教授の東島眞一氏は、魚の脊髄の付け根にあたる「後脳」という部分にあるV2aと呼ばれる神経細胞群が、尾を左右に振り泳ぎをコントロールする指令塔になっていることを明らかにした。

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ゼブラフィッシュという小型魚の脳の後脳にあるV2aと呼ばれる神経細胞群に注目。このV2a神経細胞群に、光に反応して神経細胞を興奮させることができるチャネロドプシンという光感受性色素タンパク質を遺伝子発現させたところ、光をあてることで尾を左右にふり泳ぎ始めた。

逆に、同じV2a神経細胞群に、光に反応して神経細胞の働きを抑えることができるアーキロドプシンという別の光感受性色素タンパク質を遺伝子発現させたところ、光をあてることで尾を左右にふるのをやめ、泳ぎが止まった。以上から、後脳のV2a神経細胞群によって、尾を左右に振り泳ぎのリズムをつくる神経細胞の働きがコントロールされており、V2a神経細胞群が泳ぎの制御に指令塔として必要十分な働きをすることがわかった。

東島氏は、「小型魚であるゼブラフィッシュも、人と同じ脊椎動物です。人をはじめとする脊椎動物の脳幹にも同じ種類の神経細胞群があると考えられることから、脊椎動物の歩行などのロコモーションを制御する主要な神経回路の1つが明らかになったと言えるでしょう」と話している。

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