岡山大,有尾両生類の四肢再生を制御する3種類のたんぱく質を発見

岡山大学 異分野融合先端研究コア准教授の佐藤伸氏らは,有尾両生類で四肢を再生させることのできる3因子を世界で初めて発見した。

メキシコサラマンダ―(通称:ウーパールーパー)などの有尾両生類が,四肢を再生できることは古くから知られている。佐藤氏らは,これまで単なる皮膚損傷だけではヒトと類似して皮膚の修復反応しか起こらないが,そこに外科的な操作によって神経を配置させると,皮膚の修復から四肢再生へと転換できることを報告している。しかし,そこに関与する因子は分からず,高等脊椎動物への応用を考える上での大きな障壁となっていた。

佐藤氏らは今回,四肢再生の開始を促すたんぱく質を,非常にユニークな「過剰肢付加モデル」を使用して明らかにした。具体的には,次世代DNAシーケンサを用いて,皮膚修復および四肢再生時における遺伝子発現の比較解析を行ない,細胞内の2種類の情報伝達経路に着目した。

1

それらを活性化する候補因子から,四肢再生に関連するものを歴史的背景を踏まえて選定・研究した。その結果,損傷を受けた部位に3種類のたんぱく質(FGF2,FGF8,GDF5)を作用させることにより,皮膚修復に代えて四肢の再生が可能であることを発見した。

今後,より高等な脊椎動物において,今回発見した3種類のたんぱく質および情報伝達経路の作用の差異を明らかにしていくことで,四肢などの器官再生研究の進展に大きく寄与することが期待される。

詳しくはこちら。