阪大、多剤排出タンパク質の阻害剤結合構造決定に初めて成功

大阪大学産業科学研究所特任教授の山口明人氏らは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 CRESTの一環として、緑膿菌および大腸菌の主な多剤排出タンパク質の阻害剤との結合構造の決定に初めて成功した。

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図左はMexB3量体の主鎖ストリングモデル。緑、青、赤はそれぞれ待機、結合、排出モノマー。構造中に見える橙色の網目は結合している阻害剤ABI-PP由来の電子雲。図右はABI-PP結合部位の拡大図。タンパク質は表面構造カットモデル。ABI-PPがスティックモデルで表示されている。黒は切断面。赤と白で見えているのは分子内チャネルの表面。赤は疎水的、白は親水的な表面。中央を左右に基質透過チャネルがあり、その途中に疎水性の狭い溝がある。ABI-PPは分子の一部がその狭い溝にすっぽりとはまり込み、親水性の部分を透過チャネルの方に突き出している。

多剤排出タンパク質とその阻害剤の選択的な結合構造を明らかにすることによって、社会的に大きな問題となっている多剤耐性緑膿菌感染症を克服するための治療薬開発に道を開いた。

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