理研、遺伝子検査によるエイズ治療薬の使い分けの有用性を実証

理化学研究所は、タイで実施された遺伝子検査に基づくエイズ治療薬の使い分けに関する前向き臨床研究において、遺伝子検査の有用性を実証した。

130704riken2

タイでは、エイズ治療薬として比較的安価な「ネビラピン」がよく使われている。しかし、この薬による副作用として薬疹(薬によって起こる皮膚や眼、口などの粘膜に現れる発疹)の発症率が高いことが問題になっていた。2006年より共同研究グループは、ネビラピンの薬疹に関与する遺伝子の探索を行ない、HLA-B*35:05およびCCHCR1の遺伝子型が、タイ人におけるネビラピンの薬疹に大きく関与していることを明らかにしてきた。

そこで共同研究グループは、この成果を基に、タイ人エイズ患者を対象とした前向き臨床研究、GENPART Studyを2009年に開始。この研究では参加した1,103人の患者を、遺伝子検査せずにネビラピンを投与する標準治療群と、遺伝子検査によってネビラピンを投与するかどうかを決める介入治療群の2群に無作為に分け、薬疹の発症率を比較した。その結果、標準治療群と比べ介入治療群では薬疹の発症率が約3分の2に減少することが示され、遺伝子検査がエイズ治療薬による薬疹の軽減に有効であることを証明した。

今回の成果により、タイ人エイズ患者に遺伝子検査を行なうことで、ネビラピンによる薬疹のリスクを軽減できるようになる。個人に最適なエイズ治療の確立を目指したオーダーメイド医療の実現に向け、着実な一歩を踏み出したといえる。

詳しくはこちら