東大、ペプチドや経口摂取した薬剤の吸収に関わる輸送体の構造と機能を解明

東京大学大学院理学系研究科教授の濡木理氏、准教授の石谷隆一郎氏、オックスフォード大学生物化学科のSimon Newstead氏らは、タンパク質POTの立体構造を、水素イオンとその基質である薬剤アラフォスファリンと結合した状態かつ、高分解能(0.19 nm)で解明することに成功し、POTの輸送メカニズムも明らかにした。さらに、従来は水素イオンと薬剤はそれぞれPOTの異なる場所に結合すると考えられていたが、今回の成果により同じ位置に結合することが分かった。

130710ut2

経口摂取した抗生物質や抗ウイルス薬などの薬剤の吸収は、小腸の柔突起に存在する膜タンパク質輸送体のPOTファミリータンパク質が担っている。POTは原核生物から人間を含めた高等真核生物に至るまで存在しており、その輸送メカニズムを理解することは吸収効率の高い薬剤を開発するためには重要だが、これまでの報告はすべてPOTが基質と結合していない状態の立体構造であり、分解能も不十分であったため、POTの輸送メカニズムは依然不明だった。

今回の研究成果は吸収効率の高い薬剤の設計に寄与する重要な情報であり、選択的に薬剤を輸送するドラックデリバリーシステムの開発、という将来的な目標の達成につながると期待される。

詳しくはこちら