東大、制御性T細胞を誘導するヒトの腸内細菌の同定と培養に成功

東京大学大学院新領域創成科学研究科附属オーミクス情報センター教授の服部正平氏と理化学研究所統合生命医科学研究センター消化管恒常性研究チームチームリーダーの本田賢也氏らを中心とする共同研究グループは、免疫反応を抑制する働きのある制御性T細胞(Treg細胞:ティーレグ細胞)を誘導するヒトの腸内細菌の同定に世界で初めて成功した。

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今回同定されたヒト腸内細菌は、17種類のクロストリジウム属菌からなり、健康なヒトの糞便から分離された。同グループは同様な活性を持つマウスの腸内細菌を既に同定していたが、本研究では、ヒト糞便から分離した腸内細菌叢からクロストリジウム属菌を濃縮し、さらに数回にわたる希釈とマウスへの投与実験を経て、Treg細胞を増やす効果のある17菌種の混合物を同定した。さらに、個々の菌を分離して個別に培養することにも成功した。

培養した17菌種の混合物をマウスに投与すると、大腸のTreg細胞の数が増加して腸炎や下痢が有意に抑制された。また、17菌種の多くが、健常者群に比べて炎症性腸疾患患者群の糞便で有意に減少していた。

今回の成果は、アレルギーや炎症性腸疾患などの過剰な免疫反応が原因となっている病気の治療や予防への応用が期待される。

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