岡山大、植物の酸性土壌適応力を解明

岡山大学資源植物科学研究所植物ストレス学グループ教授の馬建鋒氏らは、その酸性土壌に適応する植物の仕組みを明らかにした。

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シラゲガヤ(白毛茅)は、ヨーロッパで牧草として利用されている多年生のイネ科植物で、pH の低い酸性土壌でもよく生育できる。酸性土壌によく適応するシラゲガヤ系統を中性土壌から採取した系統と比較した結果、酸性土壌の低 pH 耐性には違いがなく、アルミニウム毒性に対する耐性が異なっていることを突き止めた。また、その耐性の違いは根から分泌されるリンゴ酸の量によることを明らかにした。

リンゴ酸の分泌に関与する遺伝子 HlAMLT1 を単離したところ、両系統間で遺伝子の配列には差が認められなかったが、発現量に 2 倍以上の差があった。さらにその発現量の違いは、HlAMTL1 遺伝子のプロモーター領域にあるシス因子の数に起因することを突き止めた。つまり、酸性土壌に良く適応する系統はプロモーター領域に転写因子である ART と結合するシス因子の数が多くて、HlALMT1 の発現を高め、その結果、リンゴ酸の分泌が多くなり、アルミニウムを無毒化する力が強くなる。

今後、この仕組みをアルミニウム耐性の弱い作物に導入すれば、酸性土壌でも生育できる作物の作出が期待できる。

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