原研など、セラミックコンデンサ中の水素不純物が絶縁劣化を引き起こすメカニズムを解明

日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターと大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所、およびJ-PARCセンターの研究グループは、代表的なセラミックコンデンサ材料であるチタン酸バリウム(BaTiO3)に混入した微量の水素不純物が絶縁劣化を引き起こすメカニズムを明らかにした。

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本研究では、積層セラミックコンデンサの焼成過程において混入する可能性が高い水素に着目。ただ、ごく微量の水素不純物を直接とらえるのは困難なので、水素に代わって検出が容易な正ミュオンをチタン酸バリウムの結晶に打ち込み、これを模擬的な水素不純物とみなして局所的な電子状態を調べた。

実験の結果、正ミュオンに対する電子の束縛は極めて弱く、そのためにこの電子は室温付近における熱エネルギーによって容易に結晶中を動きまわれる状態になり、電気伝導に関与することが分かった。実際の水素不純物も同様のメカニズムにより電子を放出し、絶縁性の低下を引き起こすと考えられる。

本研究により得られた知見に基づいて、チタン酸バリウム系セラミックコンデンサの製造過程から水素混入の可能性を排除することにより、コンデンサの性能向上が期待される。

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