理研、オートファジーが糖鎖の代謝に関わることを発見

理化学研究所は、細胞内の不要なタンパク質などを分解するオートファジーが特定の糖鎖の効率の良い代謝に関与し、リソソームと呼ばれる細胞小器官の機能維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。これは、理研グローバル研究クラスタ(玉尾皓平クラスタ長)理研‐マックスプランク連携研究センター糖鎖代謝学研究チームチームリーダーの鈴木匡氏、同テクニカルスタッフの清野淳一氏と、東京大学大学院医学系研究科教授の水島昇氏らによる共同研究グループの成果。

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共同研究グループは、基底オートファジー機能を欠損させた細胞を調べたところ、その細胞質にシアル酸という糖を持つ遊離糖鎖(シアリルオリゴ糖)が顕著に蓄積していることを発見した。通常シアリルオリゴ糖は、リソソームで分解され、単糖になったシアル酸が細胞質へ放出されるのでシアリルオリゴ糖そのものは細胞質には蓄積しない。

さらに解析を進めると、基底オートファジーが欠損することでリソソーム膜上にあってシアル酸を細胞質へ輸送する膜タンパク質「シアリン」の機能変化によってシアリルオリゴ糖が細胞質に蓄積する可能性が示唆された。これは、基底オートファジーの機能がリソソームの正常な働きに重要であることを示している。

今回の発見により、オートファジーが糖タンパク質の糖鎖の代謝に関与することが初めて明らかになった。最近、さまざまながん組織にシアリルオリゴ糖が特異的に蓄積していることが報告され、オートファジーの機能不全がある種の細胞のがん化のメカニズムに密接に関与する可能性を示唆している。今後オートファジーと糖鎖代謝の関係性の詳細を解明することを目指す。

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