東大、最軽量、最薄の柔らかい有機LEDの開発に成功

科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、東京大学 大学院工学系研究科 教授の染谷隆夫氏、准教授の関谷 毅氏らは、世界最軽量(3g/m2)で最薄(2μm)のくしゃくしゃに折り曲げても動作する新しい光源として“超薄膜有機LED(発光ダイオード)”の開発に成功した。

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本研究グループは、厚さ1.4μmの極薄の高分子フィルムに、有機半導体材料を積層する独自の作製技術を確立し、世界最軽量で最薄の柔らかい有機LEDの作製に成功した。開発の決め手は、表面が粗い1μm級の高分子フィルムに、ダメージを与えずに有機LEDを製造する低温プロセス。より具体的には、高温で高エネルギープロセスが必要な酸化インジウムスズ(ITO)の透明電極を利用せず、低温かつ低損失で形成可能な導電性高分子を電極(陽極)に活用した。

この有機LEDは、超薄型であるにもかかわらず、くしゃくしゃに折り曲げても動作する。最小曲げ半径10μmを達成し、輝度は100カンデラ/平方メートルある。さらに、柔らかい伸縮可能なゴムの上に有機LEDフィルムを張り付けることで、伸縮自在なLEDの開発にも成功した。

今回の研究により、柔らかい有機LEDの超軽量化・超薄型化が達成されたことで、今後、あらゆる曲面に張り付けられる有機LED照明、有機LEDディスプレイ、装着感のないヘルスケア・センサー用途の光源など多方面への応用が期待される。

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