群馬大、東北大など、細胞性粘菌由来の抗がん剤候補物質がミトコンドリアの代謝機能を妨害することを発見

群馬大学生体調節研究所准教授の久保原禅氏、東北大学大学院薬学研究科教授の大島吉輝氏、准教授の菊地晴久氏、並びに福島県立医科大学医学部教授の本間好氏らの研究グループは、細胞性粘菌由来の抗がん剤候補物質に関する研究を行った。

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今回、研究グループは、DIF様因子の作用機序を解明することを目的として、蛍光発色体(BODIPY)と DIF-3 を結合した化合物(BODIPY-DIF-3)を化学的に合成した。その結果、1)BODIPY-DIF-3 は、DIF-3 と同様にがん細胞の増殖を抑制する活性を有すること、2)BODIPY-DIF-3 をがん細胞に添加すると、即座にがん細胞内に浸透し、ミトコンドリア(エネルギーを生産する細胞内小器官)に局在・蓄積すること、そして、3)BODIPY-DIF-3 や DIF-3 などの化合物は、ミトコンドリアの機能を妨害すること等が明らかとなった。

これらの結果は、「DIF 様因子が(少なくとも一部)がん細胞内のミトコンドリアの機能を阻害することによってがん細胞の増殖を阻害する」ことを示唆している。近年、細胞のエネルギー生産工場であるミトコンドリアを狙い撃ちするがん化学療法(mitochondria-directed chemotherapy)が有望ながん治療戦略として注目されており、今回の研究成果は、そのような戦略に沿った抗がん剤開発に繋がることが期待される。

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