京大ほか、たった二つの開花遺伝子によって開花時期を高精度に予測

京都大学生態学研究センター教授の工藤洋氏、研究員の川越哲博氏、北海道大学地球環境科学研究院准教授の佐竹暁子氏、研究員の佐分利由香里氏、特任助教の千葉由佳子氏、農業環境技術研究所研究員の櫻井玄氏の研究グループは、アブラナ科ハクサンハタザオの開花を制御する二つの主要な遺伝子の働きを調べることによって、複雑な野外環境で開花期間の始まりと終わりを予測できることを明らかにした。

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研究では、春化に依存して開花時期が決まるアブラナ科植物ハクサンハタザオを用いて、室内実験・数理モデル・野外実験という異なるアプローチを統合し、世界で初めて遺伝子発現量に立脚した開花時期予測モデルの開発に成功した。

まず、温度操作実験を行ない、さまざまな温度環境下で長期間開花遺伝子の発現量を追跡した。得られたデータを用いて、開花遺伝子制御の数理モデルを構築しパラメータを推定することで、野外の複雑な変動温度環境のもとでも遺伝子発現量の季節変化を精度良く予測する手法を確立した。これにより、温暖化にともない開花時期が単に早まるというだけでなく、植物によっては開花できなくなることを予測し、地球温暖化が生態系に及ぼす新たなリスクを示した。

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