産総研、 ウエハー常温接合のための原子レベル表面平滑化プロセスを開発

産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センター大規模インテグレーション研究チーム研究員の倉島優一氏、研究チーム長の高木秀樹氏は、ネオン高速原子ビームを用いてシリコンの表面を平滑化することで接合部のひずみを大幅に低減させ、高い信頼性のマイクロデバイスが作製できる表面活性化常温接合プロセスを開発した。

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表面活性化常温接合はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)封止やMEMS・IC集積化のためのダメージが低い接合技術として注目されている。しかし、接合表面には原子レベルの平滑性が求められるため、MEMSやICの作製プロセスにより接合面の表面粗さが悪化してしまうと、接合部のひずみが大きくなりマイクロデバイスに悪影響を及ぼす、あるいは接合すらできないという課題があった。

今回、荒れてしまったシリコン表面に対しネオン高速原子ビームを用いて表面を平滑化すると、接合部のひずみが低減して接合強度が向上することを確認した。

このプロセスにより、従来は接合が困難であった粗さの大きなシリコン表面でも接合が可能になるとともに、接合部のひずみの低減によるマイクロデバイスの性能向上が期待される。なお、この技術は既存の常温接合装置を改造することなく適用可能である。

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