生理研、炎症時の痛みに「ワサビ受容体」が関わる仕組みを明らかに

自然科学研究機構生理学研究所岡崎統合バイオサイエンスセンター研究員の周一鳴氏と教授の富永真琴氏は、マウスのワサビ受容体であるTRPA1(トリップ・エーワン)にスプライスバリアント(一つの遺伝子から複数種類のタンパク質が作られる仕組みによって生成される構造の異なるタンパク質)が存在し、その構造の異なるTRPA1スプライスバリアントが炎症時や神経障害後に増えることによって痛み増強につながることを明らかにした。

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具体的には、痛みセンサーとして働くワサビ受容体TRPA1に新しいスプライスバリアントが存在することが分かり、スプライスバリアントがあるとTRPA1電流が大きくなった。また、そのスプライスバリアントがマウスの炎症性疼痛モデルや神経傷害性疼痛モデルで増えることがわかった。さらに、スプライスバリアントはTRPA1の機能増強をもたらすことから、炎症性疼痛や神経傷害性疼痛における痛み発生にスプライスバリアントが関わっていることが示唆された。

痛み刺激を感知するセンサーの1つであるワサビ受容体(ワサビの辛みを感知するは全身の皮膚の神経にもあり痛みセンサーとして働いていることが知られているが、炎症時の痛みや神経障害後に起こる痛みにワサビ受容体がどのように関わるかは、これまで明らかではなかった。

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