スマートフォン世界市場,2013年にフィーチャーフォンとの比率逆転か

富士キメラ総研は,成長著しいスマートフォンとそれに競合・連携するタブレット,電子書籍端末及びウェアラブル端末とそれらを構成する主要デバイスの世界市場を調査,その結果を報告書「2013 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望」にまとめた。

それによると,2012年の携帯電話の世界市場は,前年に引き続きスマートフォン市場が拡大し,前年比7.4%増となった。中国やインドなどを中心に低価格スマートフォンが急速に普及しており,2013年のスマートフォン市場は携帯電話全体の6割を超えると見込まれる。今後も市場は堅調に推移し,2017年には2012年比24.1%増の19億7,000万台が予測される。

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フィーチャーフォンは,スマートフォンの普及により最大の需要地であった中国で縮小しており,2012年に続き,2013年も前年比20%程度の減少が見込まれる。2014年以降も縮小は続くものの一定の需要が残り,毎年10%程度の減少に留まると予測される。中国では千元を下回る価格のスマートフォンも登場してきていることから,山寨フィーチャーフォン(模倣品)が大きく縮小している。山寨スマートフォンは徐々に増加すると見られるが,2017年でもスマートフォン市場の1割にも満たないと予測される。

【スマートフォンとの連携と競合〈ウェアラブル端末とタブレット・電子書籍端末〉】

スマートフォンのディスプレイサイズは当初4インチが一般的であったが,ディスプレイの大型化が進んでいる。2012年には5インチを超えるスマートフォンも登場し,徐々に片手で操作するには手に余るサイズとなり,携帯性や通話の面で不都合が生じつつある。また,画面の大型化は情報確認頻度の低下を引き起こすため,通話や携帯性を補助するためのウェアラブル端末の必要性が増すと考えられる。

現状は音楽再生や音声通話を行うワイヤレスヘッドセットが中心となっているが,スマートフォンと連携させることで,通話やメールの確認など基本タスク面でのサポートや,カメラ,ネットワークサービスの利用が可能となるウェアラブル端末が登場している。スマートウォッチ,Googleグラスなど透過型ヘッドマウントディスプレイの投入などが期待されており,ウェアラブル端末は2012年の1,434万台から,2017年には3,780万台が予測される。

これまでスマートフォンは、コンパクトデジタルスチルカメラ、ポータブルミュージックプレーヤーなど,さまざまな専用機器の機能を取り込んできた。ディスプレイの大型化によってスマートフォンはタブレットとの境界線があいまいになりつつあり,さらには同じスレート型の電子書籍端末とも競合している。タブレット・電子書籍端末の市場は,ノートPCの需要を取り込んでいるタブレットがけん引することで2012年の1億5,140万台から,2017年には2012年比2.5倍の3億7,840万台が予測されるが,今後スマートフォンがタブレットや電子書籍端末の市場を侵食していく可能性もある。

【携帯電話/タブレット向け主要デバイス世界市場】

携帯電話/タブレット向けの主要デバイス8分野25品目の合計は2012年で12兆7,309億円となった。スマートフォン市場の拡大に支えられ,マイナスとなった分野は見られなかった。特に表示/出力系デバイスとセンサーの伸びが顕著で,表示/出力系デバイスは高精細ディスプレイ搭載モデルの急増が,センサはジャイロセンサを中心とした搭載率の上昇がそれぞれ背景にある。

【携帯電話/タブレット向け注目デバイス市場】

2012年の携帯電話/タブレット向けディスプレイ市場は,前年比21.6%増となった。数量ベースでは同6.9%増の17.8億枚に留まったがスマートフォンのディスプレイの大型化と高精細化による単価上昇により市場は大きく伸びた。

サイズ別ディスプレイ需要(数量ベース)は,携帯電話では2011年までの3インチ未満から、2012年には3インチ,2013年には4インチとボリュームゾーンが変わっている。スマートフォンは機能面での差別化が難しく,訴求しやすい手段として画面の大型化が進んでいる。今後も4インチがボリュームゾーンとなるが,市場をけん引していくのは5インチ,6インチであると見られる。タブレットでは2011年には9インチ以上の比率が高かったが,7インチクラスのローエンドタブレットが増加しており,2013年には9インチ未満がボリュームゾーンになると見込まれる。

フレキシブルディスプレイは,2013年末にSamsung DisplayとLG Displayが製品化を計画しており,曲面形成によって意匠性を訴求するプレミアムモデルのスマートフォンで採用が見込まれる。アプリケーションの量産化は,まずはディスプレイサイズの小さいスマートウォッチ(当該市場対象外)での展開が想定されており,スマートフォン向けは2015年頃から徐々に展開が進むと予測される。曲がるだけでなく,折り曲げられるディスプレイの量産化は技術的に難しく,2020年以降になると予想される。

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