東大、阪大など、タンパク質1分子内部運動の2軸時分割マッピングに成功

東京大学大学院新領域創成科学研究科教授の佐々木裕次氏らは、X線1分子追跡法(Diffracted X-ray Tracking: DXT)手法の改良により、X線1分子タンパク質の分子内の詳細な傾き運動とねじれ運動の統計データを効率良く短時間に取得することに成功した。

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改良したDXT手法では、放射光施設のベンディングマグネットから得られるエネルギー幅の広い硬X線(8-18 keV,波長0.7-1.6 nm)を集光することで、タンパク質分子の複雑な傾きやねじれ運動を22.6度の広範囲で短時間計測することが可能になった。

この開発では、大型放射光施設 SPring-8のBL28B2ビームラインにX線トロイダルミラーを導入し、2.4度から22.6度の広い角度範囲の測定を可能にした。また、今回の結果はDXT手法が世界中の放射光施設で測定できることを示唆するもの。

今後は、タンパク質分子の内部運動に着目し、分子の機能性と分子運動特性の定量相関解析が進むことによって、新規創薬分子の効果・副作用や異常タンパク質などの早期発見や未知なる機能評価といった、分子内部1分子レベルの「タンパク質1分子動態学」に道が開かれると期待される。

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