NIMS、資源開発のための高性能オイル吸着材を開発

物質・材料研究機構(NIMS)先端的共通技術部門 高分子材料ユニットの研究者らは、石油随伴水などのオイル成分を含んだ汚染水を低コストで浄化できる高性能オイル吸着材を開発した。

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工業的な高分子多孔体の製造法には、高分子溶液の相分離現象が広く利用されてきた。NIMSでは、深冷下での高分子と溶媒の相分離現象に着目し、エンジニアリングプラスチックの内部に溶媒のナノ結晶を形成させることに成功した。

このナノ結晶を独自の方法で除去することで、極細のナノ細孔が連続的に繋がった高分子ナノ多孔体を形成することに成功した。開発された高分子ナノ多孔体は、シートやペレット、ファイバーとして得ることができる。また、特定の条件下では、半径1.9ナノメートルの微細なナノ細孔を形成することができた。

得られた高分子ナノ多孔体は、1グラム当たり300m2を越える著しく大きな表面積を有し、水中のオイル成分を効率的に吸収できる。石油随伴水に含まれるクレゾールというオイル成分の吸着実験では、1グラム当たり260mgを越える吸着量が確認された。さらに開発された吸着材は、高温にすると吸着したオイルを脱着する。このため、吸着材として繰り返して利用することができる。また、二酸化炭素などのガスの吸着特性にも優れており、ガス分離材料としての応用にも期待が持たれる。

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