京大,一酸化炭素を高効率に分離・回収する新材料を開発

京都大学 北川進 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)拠点長教授の松田亮太郎氏らの研究グループは,混合ガスの中から一酸化炭素(CO)を高選択的に分離・回収できる多孔性材料の開発に成功した。

1

COは一般的には毒性のガスとして知られており,炭素を含む物質が不完全燃焼する際やメタンから水素を取り出すプロセスの際に発生する。一方,産業界においては樹脂等,有用な化成品を得るために必要な非常に重要な原料である。COを含む混合ガスから効率よくCOを分離・回収できれば,これまで利用できなかった排ガスを新たな資源として利用できるだけでなく,二酸化炭素排出量削減につながる可能性がある。

今回の研究では,COを捕捉可能なナノ細孔物質を開発し,混合ガスからCOを効率よく分離し,簡単に回収することに成功した。またその仕組みを大型放射光施設SPring-8の高輝度放射光を用いて,詳細に検討した。その結果,今回開発した物質がナノメートルサイズの孔の形・大きさを変えながら,COを効率的に取り込んでいる様子を直接観測することに成功した。

この成果により,これまで不可能であった工業生産ラインや自動車からの排ガスに含まれるCOの効率的分離による資源化や,シェールガス等から発生したCOガスの精製などを通じて社会に大きなインパクトを与えることが期待される。

詳しくはこちら。