京大,低コスト/高性能の人工ロジウムの開発に成功

京都大学 大学院理学研究科教授の北川宏氏らの研究グループは,パラジウム(Pd)とルテニウム(Ru)が原子レベルで混ざった新しい合金の開発に成功した。この合金は,周期表上でRuとPdの間に位置する最も高価なロジウム(Rh)と等価な電子状態を持つことから,価格が1/3の人工的なロジウムとして期待されるもの。

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家庭で使用されている燃料電池コジェネレーションシステム「エネファーム」では,金属Ru触媒が稀少金属の白金の耐被毒触媒として使用されている。今回開発した合金触媒は,現在実用化されているRu触媒に比べて,有害な一酸化炭素を除去する性能がより優れていることがわかった。また,RuとPd元素の中間位置に存在するRhの触媒活性よりも優れている。

従来PdとRuは2000℃以上の液体の状態においても相分離する,言わば水と油の関係であり,原子レベルで混じらないのが常識だった。今回,ナノサイズ効果に注目し,化学的還元法により,PdとRuが初めて原子レベルで固溶した合金ナノ粒子を得ることに成功した。

この研究成果は,PdとRuを混ぜることによりこれまで存在し得なかったPd1-XRu(0<x<1)という新元素とも言える物質を発見したということ。このことにより,燃料電池で使用されている高価な白金触媒の耐久性が向上し,エネファームの耐用年数が画期的に延びることが期待される。

また,自動車排ガス浄化触媒として使われるロジウム触媒の性能を凌ぐことが期待され,最も高価な貴金属元素であるロジウムの価格を1/3以下に下げるもの。今後,コストの関係でロジウムを使用できない場面においても今回開発した合金を用いることで,ロジウムと同等もしくはそれ以上の性能を発揮することが可能となる。

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