北大,レーザ光のらせん度をすばやく精密に測定する方法を開発

北海道大学 大学院工学研究院・教授の森田隆二氏,准教授の山根啓作氏,教授の戸田康則氏らの研究グループは,光渦と通常の平面波との干渉像から,らせん度の成分分布を示す軌道角運動量スペクトルを高速かつ精密に測定する方法を開発した。

新しい画像
図1 光渦レーザー光の説明図

今回研究グループは,フェムト秒の超短パルスから600~950nmにわたる超広帯域パルスを発生させ,その一部から超短光渦パルスを,また別の一部から干渉参照用平面波パルスを生成。これら2パルスに関し,ある波長成分のみを取り出し,小さな角度をつけて干渉させると,光渦と平面波とでできる特長的な干渉像が得られる。

この干渉像を空間フーリエ変換し,一つの交流成分のみを取り出し,空間フーリエ逆変換を行なうと,ある波長における光渦電場の振幅と位相とを求めることができる。この振幅と位相情報から光渦にどのようならせん度成分が含まれているかを示す軌道角運動量スペクトルを求めることができる。この手続きを高速化し,ある波長の軌道角運動量スペクトルを秒単位で求めることができるようにした。

新しい画像 (1)
図2

この手法を用いて,波長分解された光渦のらせん度分布を精密に測定し,これまでの軌道角運動量測定では困難であった1%以下のモードの混入も,測定できることを明らかにした。また,m=0の成分の混入が多くなると,光渦の特異点が分裂することが知られているが,このような場合でもこの手法により再生された位相分布からその分裂をきれいに観測することができた(図2)。

新しい画像 (2)
図3

さらに,この手法を混成タイプ光渦にも用い,世界で初めてという異なるらせん度の成分間の位相差を測定することにも成功(図3)。干渉像をとる際の波長成分を変え測定することにより,広い波長領域(600-950 nm)にわたっての波長分解軌道角運動量スペクトル(らせん度分布)も求めることができ,これにより軌道角運動量スペクトルの波長依存性も定量化することができた(図4)。この結果は,これまで実証した超広帯域光渦発生法が,軌道角運動量分散をほとんど与えない優れた方法であることを示すものとしている。

新しい画像 (3)
図4

今回の成果は,複数のらせん度が混合された光渦を用いる多重光通信・量子情報処理や,非線型分光,高強度電場と物質との相互作用実験などにおいて,すばやく,また精度よくらせん度分布を測定することが可能になり,この手法はこれら応用の最適設計指針を与える測定法として期待されている。

また,特に革新的な光情報処理やレーザ加工技術の開発につながる可能性があるとし,さらに,特異な振る舞いを示すことで知られている非整数光渦に適用すれば,軌道角運動量スペクトル分解を行なうことができ,軌道角運動量成分ごとの位相関係も測定できるので,その特異な伝播特性の解明につながるとしている。

その他関連ニュース