九大,40億年前に月の自転軸が数十度ずれていたことを証明

月探査機「かぐや」月磁場研究グループの九州大学大学院理学研究院准教授の高橋太氏と東京工業大学大学院理工学研究科教授の綱川秀夫氏らは衛星観測データを解析し,太古の月には地球と同じように大規模な磁場が存在していたこと,現在とは数十度異なる自転軸だったことを明らかにした(プレスリリース)。

現在の月には大規模な磁場は存在しない。今回,日本の月探査機「かぐや」に搭載した月磁力計及び,アメリカの月探査機「ルナ・プロスペクタ」の観測結果による大量のデータを使い,磁気異常から磁極を推定することを初めて月の広い地域で行なった。

これらの磁気異常を解析したところ,約40億年前の月中心部では溶けた鉄が活発に運動し,磁場を発生していたことがわかった。その磁極は離れた 2 箇所にあり,一つは現在の月北極付近にあったが,もう一つは数十度離れていた。

磁極の位置は自転軸の極とほぼ一致する性質があり,月の自転軸はかつて今の位置から大きく離れていたことになる。このことは,月の形成と進化を明らかにする上で非常に重要な成果。