菱江化学と木田,低出力で高精度孔明を実現するカッパーダイレクトレーザビア加工用表面処理技術を開発

化学工業薬品など専門商社の菱江化学と木田は,レーザビア加工における生産プロセス工程数を大幅に削減でき,少ないレーザエネルギーで微細孔明を可能にする独自の表面処理技術「CDL処理プロセス」を開発し,この秋にも事業化する。

スマートフォンやタブレットなどに搭載されているビルドアップ基板では,CO2レーザによるビア(層間接続孔)加工が主流となっているが,これまではラージウィンドウ工法やコンフォーマル工法といった表面銅箔を予めエッチングによって除去し,ビアを形成するプロセスが採用されていた。

最近では生産性を高めるため,工程数が少ないカッパーダイレクト工法(銅箔に直接ビア加工する)が注目され,導入するケースが増えつつある。言わずもがなCO2レーザは,銅に対する吸収率が低いため,そのままではビアを形成することが難しい。

そこで基板に黒化処理を施し,レーザ光の吸収率を高める必要がある。レーザ光の吸収率をこうした表面処理で高める技術の開発が進められているが,今回両社が開発したCDLプロセス技術は,レーザ光の吸収率が約65%と高く,従来の黒化処理を上回るものとなっている。

さらに特長として強調するのが,低出力で微細孔をあけることができるという点だ。プリント基板ビア用レーザでは高出力化にも限界があるといった声もある。少ないエネルギーで微細孔をあけることができれば,レーザビア加工で生産している企業にとって省エネルギー化につながるため,コストメリットも大きい。


4mJのレーザエネルギーで60μm径をあけることができる

CDL処理は従来の黒化処理に比べてもレーザ吸収率が高いという

精度も真円度を98%確保

 

 

CDLプロセスは基板を30℃の水で60秒洗浄した後,プレディップを経て50~60℃の薬液に5~10分ほど浸すという工程だが,基板表面を微細粗化することで,表面積が拡大するため,レーザ光の吸収量が増加するという。

また,孔径精度も高く,98%の真円度を実現するとしている。菱江化学が製造するレーザの吸収率を高める薬液を木田が販売するとともに,最適なCDL処理を施すための装置の改良などをアドバイスする役割を担い,ユーザに提案していく。今後の事業展開が注目されるところだ。