NICT,ロンドン市街地でホワイトスペースを用いた40Mb/sブロードバンド通信に成功

情報通信研究機構(NICT)は,英国情報通信庁(Ofcom)が主催するテレビホワイトスペースの通信試験において,ロンドン市街地で40Mb/s以上の移動体高速ブロードバンド通信と,3.7kmの固定地点間通信に成功した(ニュースリリース)。

干渉回避の課題が多いロンドンのような大都市でホワイトスペースを利用した、このような移動体高速ブロードバンド通信と固定地点間通信に成功した例は世界で初めて。

•NICTが規格策定に携わったIEEE 802.11afを使用し,NICT独自開発で欧州ETSIの基準に従い,不要電波を厳しく抑制した小型無線機と,周波数管理データベースを使用することで,電波干渉の多い市街地における3.7kmの固定地点間通信に成功
•NICT独自開発のホワイトスペース帯LTE通信システムを使用することで,既存の携帯電話システムとの共通制御が可能な移動体高速ブロードバンド通信に成功
•NICTが開発してきたデータベースの計算方式や通信方式をOfcomの機能要求に対応させ,半年以上にわたる審査を経て,Ofcomからこのパイロットにおける正式なデータベース提供者としての認定を受けた。このデータベースは,テレビ放送の情報だけではなく,頻繁に変更される優先度が高いラジオマイク利用の位置や期間の情報も自動的に取り込み,無線機の送信に許容できる周波数と送信電力を計算することができる。

今回のパイロットで得られた結果は,ホワイトスペースの制度化を検討している世界各国にも条件を合わせることで展開が可能であることを示唆し,NICTはこのホワイトスペース利用技術が世界各国で利用されるよう努めていくとしている。

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