慶大,電波を用いた“まばたき”検出システムを開発

慶応義塾大学は,車や野球の投手の球速を測るのに使われているドップラーセンサを応用して,カメラを用いず,またセンサなどを身につけることなく,電波を用いてまばたきを検出するシステムの開発に成功した(ニュースリリース)。

近年,長距離バスの事故の発生に見られるように,ドライバー(運転者)の眠気や異常状態の検出が急務となっている。また,コンピュータ端末を使ったVDT(Visual Display Terminal)作業が増え,ドライアイや疲労など,健康管理が重要な課題となっている。

昔から,「目は口ほどにものを言う」と言われているように,まばたきは人の集中度や疲労度,眠気を表す重要な指標となっている。まばたきを検出する方法として,カメラを用いる方法や,センサを顔に装着するなどの方法があるが,監視されているように感じる心理的負担や,センサ装着の煩わしさなどの問題点があった。

今回開発したシステムは,まばたきによって生じるドップラー周波数の変化を,雑音低減や信号強調,信号識別などの信号処理により高精度に検出する。例えば,タイピング作業中には95%のまばたき検出率を,頭の動きが比較的大きいVDT作業(PC作業)中にも81%のまばたき検出率を達成した。

開発した電波を用いたまばたき検出システムによって,センサ装着の煩わしさや監視カメラによる心理的負担なしに,ドライバーやVDT作業者,受験生等の見守りが可能になる。現在,医学・工学・法学にわたる各企業及び大学と共同で,実用化に向けた検証を行っなているという。

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