東芝,量子暗号鍵配信で世界最大の1日あたりの暗号鍵配信量を達成

東芝は,量子暗号鍵配信装置を使った暗号鍵の配信実験を行ない,世界最大の1日あたりの鍵配信量を達成した(ニュースリリース)。

今回,温度や太陽光などの外部環境によって生じる通信の変動を自動的に補正する自動安定化機構を受信装置に採用したほか,装置の基板を一体化することによりノイズを低減し,光子の検出率の低下を抑えた。

配信実験では情報通信技術研究機構(NICT)の実験用光ファイバであるJGN-Xを利用し,東京の大手町-小金井間を結ぶ全長45km(損失14.5dB)で34日間の安定稼働を実現した。平均鍵配信量は1日あたり25.8Gb/s(総鍵配信量は878Gb/s),平均通信速度は300Kb/sとなり,世界最大の1日あたりの暗号鍵配信量を達成した。

今後,量子暗号鍵配信のさらなる長期安定動作に向けて検証を進めるとともに,暗号鍵の配信速度向上を目指す。また,量子暗号鍵配信装置を利用するさまざまなアプリケーションを活用し,実用に向けたユーザビリティの検証を行なう予定だ。

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