半導体世界市場,2019年には2014年比33.8%増の47兆1,600億円に

富士キメラ総研は,IoTやウェアラブル時代の到来に向け変動する半導体業界と次世代プロセス技術の開発/導入状況に関する調査を実施し,その結果を報告書「2015 半導体関連プレーヤーの最新動向調査」にまとめた(ニュースリリース)。

この報告書ではIDM(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型デバイスメーカ)12社,ファブレスLSIメーカ6社,ファウンドリー5社,OSAT(Outsource Assembly and Test:後工程受託メーカ)5社の動向を整理するとともに,注目半導体デバイス/パッケージ8品目,半導体関連材料7品目について市場の現状を調査・分析し,将来を予測した。

■半導体の世界市場

2014年 2019年予測 2014年比
35兆2,481億円 47兆1,600億円 133.8%

それによると,2014年の半導体世界市場は前年比18.1%増となり,スマートフォンをはじめとした情報通信機器が市場をけん引した。半導体プロセスの微細化が進み,スマートデバイスが低価格で入手できる環境が整い,新興国を中心に普及が加速した。今後も新興国におけるデジタル機器の需要増加により,市場は拡大するとみている。

現在の半導体市場の成長を支えているのは、スマートフォンをはじめとした情報通信機器。需要地域としては,圧倒的な人口を有し経済成長が続く中国が中心となる。中国では中国スマートフォンメーカが台頭しているものの,半導体は国外メーカに依存している。

そのため,中国メーカの育成に力を入れて,国産化の比率を高めている。また,中国では設計・開発,前工程,後工程の分業が一般的であり,ファブレスLSIメーカとファウンドリー,OSATが主要なプレーヤとなっている。なお,パワー半導体の分野ではIDMの成長も予想されるという。

グローバル半導体メーカは巨大市場である中国を重視している。現在はスマートフォンが中心だが,今後は 自動車やIoT/インフラ関連市場の本格的な立ち上がりにより重要性が増すと考えられるため,各メーカはさまざまなビジネスモデルで中国へのアプローチを進めている。

中国に工場を建設し需要の取り込みやコストダウンを進めるメーカや,中国メーカとの提携を進めるメーカもある。パワー半導体に関しても提携など同様の動きがみられるという。

■各半導体業界の2014年から2015年にかけての動向と将来展望

業界 2014年から2015年にかけての動向 将来展望
IDM
  • メモリ関連はモバイル向け中心に好調。
  • CPUメーカはPC市場の停滞やファブレスLSIメーカとの競合により伸び悩み。
  • パワー半導体やマイコン関連は好調を維持。
  • モバイルやサーバ向けの需要が継続するためメモリ系は好調を維持する。
  • 多くのメーカはアナログやパワー系,ミックスドシグナル,マイコンなど特徴のある製品中心へ徐々にシフトする。
  • 微細化プロセスを持つメーカはファウンドリー事業を拡大。
ファブレス LSIメーカー
  • スマートフォン向けSoCを中心に,市場が大きく拡大。
  • 通信系デバイスメーカも好調を維持。
  • モバイル向けのみならず,さまざまなデバイスで台頭する。
  • 中国メーカの高成長が続く。
ファウンドリー
  • ファブレスLSIメーカの好調を受けて市場拡大が続く。
  • IDMのファブライト戦略による受託増加も市場拡大を後押ししている。
  • ファブレスLSIメーカの成長を受けて市場は拡大。微細化プロセスを中心にIDMのファブライト戦略が加速するためIDM向けの受注も拡大。
  • 一部のメーカではWLCSPも製造し,後工程も取り込む動きが本格化する。
OSAT
  • ファウンドリーと同様,ファブレスLSIメーカの好調を受けて市場拡大。
  • IDMの工場売却や投資抑制によりIDMからの受注も増加傾向。
  • 各社はWLCSPやFCなどの高付加価値パッケージを強化。ローエンドパッケージを中心にメーカ間の統合などが進む。
  • IDM向けの受注も増加し市場は拡大。