明大ら,太陽電池発電コスト低減に向けたNEDOプロジェクトを開始

明治大学の研究グループは,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」事業における研究テーマ公募に対し「先端複合技術シリコン太陽電池プロセス共通基盤に関する研究開発」についての採択を受け,その取り組みを開始した(期間:2015年度~2019年度(予定))(ニュースリリース)。

明治大学は,2010年度~2014年度にも豊田工業大学らと共にNEDOによる事業のもと,大学,企業とのコンソーシアムを組み,結晶シリコン太陽電池について原料の製造から太陽電池セルまで一貫した研究開発を効率的に推進することで,薄板スライス技術の開発や,ヘテロ接合バックコンタクトセルにおいて変換効率25.1%を達成するなど,発電コスト低減に資する多くの貢献を果たしてきた。

結晶シリコン太陽電池の性能向上のためには,高品質結晶,再結合速度が低い低コンタクト高品位電極の開発,不純物制御,構造・組成解析,不純物評価,電気特性評価,光学特性評価などの共通基盤技術を用いた新材料及び新規プロセスの評価・解析技術の高度化が不可欠となる。

明治大学と豊田工業大学は,それらの結果を次々世代太陽電池実現のための課題解決に必要とされる共通基盤技術として確立し,関連する産業の研究開発を主導・牽引する役割を果たす。

この技術開発により,高品質結晶成長技術の開発,低コストFZ結晶成長技術の開発,高品質スライス加工装置の開発,再結合特性の低い高品位電極のためのペースト開発などの先端セル製造技術への貢献や,次世代型太陽電池の製造技術の開発に貢献することができる。

さらに,九州大学,名古屋大学,東京工業大学,兵庫県立大学と連携し,各々が得意とする先端材料・技術において高効率・低コスト化を目指す。

これまで得られた知見や指針,および開発された共通基盤技術を,日本を代表するセルメーカー,材料メーカー,装置メーカーなどの企業に提供し,共同で研究開発を進めることにより,NEDOが掲げる目標,すなわち,「発電コストを2020年に14円/kWh,2030年に7円/kWhにすること」の達成を目指すとしている。

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