東北大,テラヘルツでコンクリート鋼の被覆PC鋼線を可視化

東北大学の研究グループは,光と電波の特徴を併せ持つ新し い光 「テラヘルツ波」の光源を独自に開発し,それを用いて,エクストラドーズド橋(主桁に,低い主塔からケーブルを張り渡した構造の橋)等の樹脂被覆された外ケーブル内部の見えないPC鋼線を可視化することに成功した(ニュースリリース)。

近年,社会基盤インフラの重要な構造物であるコンクリート鋼橋の建設で,建築コストと安全性そして景観等の観点から,エクストラドーズド橋の建設が相次いでいる。世界初のエクストラドーズド橋として知られ,1994年に竣工した小田原ブルーウェイブリッジ(神奈川県)は,橋長:270.0m,最大支間:122.0mとなっている。

また海外ででも,フィリピンの第2マクタン橋(橋長:410.0m 最大支間:185.0m 完成年:1999 年)等,多くのエクストラドーズド橋が建設されている。エクストラドーズド橋構造では,荷重分散のための外ケーブルが重要な構成要素の一つであるが,これはポリエチレン樹脂等で被覆されているため,腐食などに対して極めて安全性が高く,点検を要しないものと考えられてきており,現在,有効な健全度の点検手法が無いと言われている。

しかし,長寿命化の観点からエクストラドーズド橋の主要部材である外ケーブルのPC鋼線の健全度診断技術の必要性が叫ばれている。その際,ケーブルの外層被覆を除去して目視点検する破壊的な検査では,点検後に元の状態に修復することは困難であり,かえって水等の侵入による腐食を招きかねない事から,非破壊による内部PC鋼線点検方法が求められている。

今回,研究グループ独自の電子デバイステラヘルツ光源及びレーザーテラヘルツ光源と測定光学系を開発し,それをポリエチレン等の樹脂に対して高い透過能を持ち,樹脂内部の金属表面からは効率よく反射される「テラヘルツ波」の特徴を活かすことにより,外層樹脂被覆を除去することなく非破壊で内部のPC鋼線をイメージングすることに成功した。

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