NEDO,ナノ炭素材料の産業応用に向けた3テーマに着手

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,ナノ炭素材料の産業応用に向け,新たな実用化開発3テーマに着手する(ニュースリリース)。

革新的省エネ部材として,構造材料用樹脂や水処理フィルターの新素材を開発する。さらに剥離グラフェンの量産技術開発により,高品質で安価なグラフェンの市場供給を目指す。いずれも事業終了後,数年以内の実用化を目指すとしている。

軽量・高強度・高導電率等の優れた特性を有するナノ炭素材料は,日本が世界をリードしている材料。その優れた特性から,今までにない高い省エネルギー効果を持つ部材の創出が期待されている。

NEDOでは,材料開発や安全性評価技術開発などを通じ,15年以上にわたりナノ炭素材料の産業化を推進している。現在は,「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」(2010~2016年度)において,ナノ炭素材料の早期実用化を目指した助成事業を実施している。

NEDOは今回のプロジェクトにおいて,これまでの情報電子分野向け部材開発に加えて,軽量・高強度複合材料(構造材料用樹脂)や水処理フィルターなどのカーボンナノチューブ(CNT)を利用した革新的省エネ部材開発2テーマ,高品質な剥離グラフェンを安価に市場に供給することを目指した省エネ・低コストの剥離グラフェンの大量生産技術開発1テーマを採択した。

<ナノ炭素材料高強度複合材料の開発>
ナノ炭素材料を水に分散させるためには,分散を助ける添加剤がこれまでは必要だった。この法では分散剤を使用せず水にCNTを分散させ,それを樹脂に練りこんで,軽量・高強度な樹脂を開発する。
【助成予定先】 東洋樹脂

<ナノ炭素材料フレキシブル薄膜の開発>
CNTの中空孔を利用した,水ろ過膜を開発する。CNTの中空孔を利用したフィルターの実用化は世界初の試み。この技術が開発できると,水ろ過膜だけでなく,様々な用途に展開が期待される。
【助成予定先】 ユーテック

<ナノ炭素材料大量生産技術の開発>
グラフェンは将来大きな市場が予想されているが,量産技術がまだ確立されていない。この法では,酸を使用せず,剥離グラフェンを大量生産する技術を開発する。高品質な剥離グラフェンを安価に市場に供給することを目指す。
【助成予定先】 マイクロ波化学